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 Paragraph  2007 バックナンバー

 

   2007年 12月号

 11月1日、米国大使館裏手の新榎坂が真っ赤なメープル街道になっていた。それに続く桜坂の桜の葉もやがて黄色く染まり、18日の日曜日、七五三の晴れ着姿の子供達が落葉を拾う。23日の小雪を過ぎると、拙宅の紅葉(もみじ)も赤くなった。飯桐の赤い実を囲む葉も緑から黄へと移ろうとしている。サァ落葉掃きの日々が始まる▼2日、福田康夫首相(71)と民主党小沢一郎代表(65)が大連立協議。4日、小沢氏辞任表明。7日、辞意撤回。仲介の渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長(81)は巨人に主力選手をかき集め、一リーグ制を仕掛け、政界も一つが良いと信じている様だ▼15日、30年前13才の横田めぐみさんが拉致された日。34年前の金大中拉致事件を同氏は「日本は主権侵害される一方で保護義務を放棄。私への人権侵害だ」と述べたが、寧ろ日本国民が言いたい▼19日、「ミシュランガイド東京2008」に選ばれたのは3つ星8軒、2つ星25軒、1つ星117軒の計150軒の191星。パリの97星を超え世界一に。テレビも雑誌も食物特集ばかりの国に不思議はないが、この太平が世界で一握だと思うと遣る瀬無い▼21日、京都大学山中伸弥教授らがヒトの皮膚から万能細胞(iPS・人工多能性幹細胞)の開発に成功と発表。細胞移植療法の実用化に文科省は5年間で70億円投入予定。同日、米国ウィスコンシン大学も発表しブッシュ大統領が支援表明。難病の早期治療実現を期待する▼26日、政府はハンガリーから温室効果ガス排出権購入予定と発表。東欧が漸く環境対策した分を、西側が買って使うは如何かと思う▼同日、松下電器産業は家庭用燃料電池の量産を三洋・荏原・東芝に続き決定。酸素と水素の化学反応で作り、窒素酸化物、硫黄酸化物を殆ど出さず二酸化炭素排出量も低い。こちらは応援したい。

 

   2007年 11月号

 10月に入ると金木犀の香りが漂ってきた。見上げると金色の小さな花弁がびっしりと。2月に訪れた中国の桂林は今頃この匂いに包まれているかと懐かしむ▼4日、月周回衛星「かぐや」は観測軌道に入り、9日「おきな」、12日「おうな」のリレー衛星を分離。小さなクレーターが並ぶ裏側は、見慣れたいつもの月とは表情が大部違う▼8日、ネパールでボランティア後旅行中の中村聡志氏イランにて誘拐。無事の帰国を心から願う▼6日、イグ・ノーベル化学賞を牛の排泄物からバニラの香りを抽出した山本麻由氏が受賞。斬新なアイデアを思いつく日本人魂健在に乾杯▼12日、地球温暖化防止を映画「不都合な真実」で訴えるゴア前米副大統領がノーベル平和賞受賞。取返しのつかぬ前に、世界中が真剣にこの問題に向き合って欲しいと思う▼13日、熊本で約8500万年前の草食恐竜ハドロサウルス類の化石発見。この時代の化石は珍しいという。滅んでしまった恐竜に何故か人類は引きつけられる▼18日、パキスタン・ブット元首相、恩赦により帰国。それに伴った爆弾テロでブット女史は無事であったが、138人が死亡、550人以上が負傷。どんなに立派な思想も平和に勝るものではないと思うのだが▼23日は十三夜。今年は月齢が12日の、栗の実がゴロンと横になった様な栗名月。満月ではなく十三夜を祝うのは、いかにも日本人らしい。稲刈が終わり冬支度前、ほっと一息して月見を楽しんだのではないだろうか▼24日、6.88年周期のホームズ彗星が、エドウィン・ホームズが1892年に12等倍の4等星になった時に発見して以来、115年ぶりにアウトバースト。ペルセウス座近くで40万倍の2等星の輝きとなった。毎夜空を見上げる日が続く▼フィギアスケート・グランプリ・アメリカは27日に高橋大輔選手優勝。28日の安藤美姫選手のフリー。テーピングを衣装で隠し、氷上を舞う19歳の『カルメン』は、セビリヤのオレンジの街路樹の、噎せ返るほどの芳香に満ち溢れ最高点。総合2位▼29日、守屋前防衛次官、国会喚問で接待享受を認める。年金、医療の不祥事の厚労省、続々と発覚するメーカー不正表示。日本人の品性は何処に行ったのか。

 

   2007年 10月号

 予てから小渕元総理を思い出していた。安倍晋三総理が何もかも一人で抱えているように見えたからだ。しかし若いのだから大丈夫なのだろうと思っていた。10日国会所信表明の後、12日辞意表明。15日麻生太郎氏、福田康夫氏による自民党総裁選スタート。23日、330対 197票で下馬評通り福田康夫氏勝利。25日、福田総理誕生。26日、福田内閣設立。騒がしい日々は終わったが、問題は何も片付いていない▼ドキュメンタリー映画「ミリキタニの猫」では、6年前の世界貿易センタービルが、雑然としたソーホーのハウストン通りの先に聳えていた。翌12日も、80才の三力谷(ミリキタニ)氏は灰燼の中、咳き込みながら路上で絵を描いている。通りの先に摩天楼はもう無い。彼の米国での迫害の日々の恨みは、多くの善意に包まれ、やがて赦しの時を迎えた。「もう怒っていない」と。憎しみの連鎖が世界を覆う今、大切なのは温かい心だとしみじみと思う▼16日、谷亮子選手世界柔道で7度目の金メダル▼9月に入ると、猛暑は相変わらずたが、夜になると虫の音が高らかになった。子供の頃は童謡「虫の声」を口ずさみ、松虫、鈴虫、コオロギ、クワガタ、馬おい、と聞き分けたが、今は1種類しか聞こえてこない。アオマツムシという木に住む新種らしい。25日、十五夜を眺めているとスィーチョと久しぶりに聞く馬オイの声。秋の夜長も又楽しい▼4年程前、高砂親方に朝青龍の事をお聞きする機会があった。「子供と一緒。やんちゃ坊主」と嬉しそうに答えられた。時津風部屋でかわいがりと称するリンチで、17才の少年が死亡。この部屋では朝青龍という横綱は生まれまい▼ミャンマーは米は2から3毛作、チーク、天然ガス、石油と天然資源に恵まれている。1988年の軍事政権において、民衆への人権侵害が明らかになり欧米が経済制裁。日本も2003年より政府支援停止し最貧国一つである。アウン・サン・スー・チー女史を1989年から断続的に長期軟禁もしている。27日、報道カメラマン長井氏が兵士に射殺された。朱い衣の上座部仏教僧侶も多数拘束され、死者も出ている。彼等の死が無駄にならない事を祈る。

 

   2007年 9月号

 62年前の8月6日広島、ウランの「リトルボーイ」がB29爆撃機エノラ・ゲイ号から、9日長崎、プルトニウムの「ファットマン」がボックスカー号から落とされた。プルトニウム爆弾は球形にウラン、爆薬で囲むため周囲がウラン型の2倍、そのメタボリックな形は横からは金魚ようにも見える▼4月に凶弾に倒れた長崎の伊藤一長前市長の12回の平和宣言を読み返すと、21世紀に入り、人類がいかに平和への道から遠ざかったか分かる。昨年は「人間は、いったい何をしているのか」と厳しい問いかけで始まっている。北朝鮮も含めた全ての核保有国のみならず、科学者にも責任と自覚を求めている。平和への逆行と被爆者高年齢化への焦りにも似た思いが感じられた。今年、田上市長がそれでも尚、爆心地で黒焦げになった2本のクスノキが、いま大きく緑の枝を広げ、その苗木が全国で育っていると語った▼朝青龍問題は8月中騒ぎになった。日本の若者に敬遠されている相撲の世界において、異国の若者に横綱の品格を闇雲に求めるのは如何だろうか。まず世界に解る説明と指導が優先ではないか。外人力士達の親族達も国々も黙しているが、札束で叩いているようで胸が痛む▼1日、福岡県古賀市の玄界灘でシュモクザメやエイ数百匹が遊泳。エイはシュモクザメの大好物である。4日、静岡の宇佐美海水浴場にも出現。英名ハンマーヘッド・シャーク。金槌の両端に目がついたような形で、水族館では子供達に人気である。人を襲うのは稀だが、一緒に泳ぐのはやはり怖い▼15日、北極海の海氷面積が530.7万平方キロメートルと観測史上最小になった。1970年頃は約850万平方キロメートルあったのだが。アルプス、ヒマラヤ、アラスカの氷河も急速に溶解している▼16日、40.9度。74年ぶりの国内最高気温。22日、都内でも熱風が吹き荒れた▼地球にも体内時計があるのだろうか。人間はその運命に従って地球崩壊への道を助けているのだろうか▼23日、三越と伊勢丹、経営統合発表▼21日から24日まで世界競泳大会。肉離れしていた北島康介選手が100メートル平泳ぎの金メダルをスタートに3冠。 日本は金銀銅各6個。200メートル背泳ぎで優勝した17才の入江陵介選手は何王子と命名されるのだろう

 

   2007年 8月号

 7月7日サッカーアジアカップ開幕。29日までに日本は5戦し韓国に破れ4位。相変わらずパス回しは華麗だがシュートをしない。何年学んでも英語を話せないのによく似ている▼盆入りの13日は、昔は辺りが暗くなると家の前で迎え火を焚いた。暗闇に紅く燃える炎は子供心にも綺麗で、ご先祖様がこれを目印に来るのだと教えられた。だから日本人には故人がお墓にいても傍にいても不思議はない。「千の風」は多分そんな風に受け入れられたのだろう。この詩を始めて知った時、スウェーデンの映画監督イングマル・ベルイマンの1978年の映画『秋のソナタ』を思い出した。子供を亡くした母親が、頬を撫でる風に息子を感じ、優しく話かけるシーンである。アンデルセンの人魚姫も、「大気の精」になり涼しい風や花の香りをまく。欧米にもどこか日本と似た感性があるのだろうか▼1905年11月13日生まれのアメリカのメアリー・フライは、1932年にドイツに残した母の死を知り、墓前にも行けないと嘆くユダヤ人の友に、即興の詩を贈った。メアリーの詩はもっと素朴に、風、雪、雨、星、穀物の実り、朝の静寂、満開の花、鳥の囀り、そんな身近にいつもいるからと言う。1998年、94歳の時「この詩は世界のもので、私のものではない。愛と癒しが込められていて、もし私がこの詩からお金を受け取ったら価値を失ってしまう」とインタビューに答えている。その為未だに作者不詳のままになっている。彼女は「ある日私は詩をかいた」という詩もつくっている。「言葉が私の心にやって来た。この詩は友から友へと渡り、そのメッセージが伝えられ・・・心の痛みを分かち合った時、悲しみに光が当たり永遠の平和が来るのを知った。」。2004年9月25日、99才の誕生日を目前にして静かに亡くなった。奇しくもベルイマンの訃報が30日に伝えられた▼16日、中越沖地震発生。M6.8、震度6強。死者10名の多くは家の下敷きになったお年寄りである。世界最大の柏崎刈羽原子力発電所は活断層上にあり奇跡的に今回の被害で済んだ▼29日、第21回参院議員選挙は自民党37議席、民主党60議席。二年前、郵政改革の是非に投じた票が6月の国会で次々と強行採決に使われ、国民は二大政党制を望んだのだろうか。1994年の村山内閣の様なことが起きればそれも砂上の楼閣だが。衆院で採決された議案も参院が未決にすれば衆院には戻らない▼無党派では川田龍平氏が早くに当選確実になった。生後6ヶ月で血友病と診断され3才で非加熱製剤投与。母親の悦子さんはエイズを心配するが、安全であり投与しない方が危険と医師に説明され納得する。それでも安心と不安が交叉していただろう中、10才で感染告知。感染力が過大に評価され無闇と恐れられた時代である。1995年、龍平氏が19才の時、HIV訴訟に実名を公表したのは未だに記憶に新しい。1996年発行「龍平の現在(いま)」の本に載っている二十歳の頃に比べ、しっかりとした大人になっていた。訴訟に勝っても常に死と隣り合わせで生きる事は変わらない。母の悦子さんも危険を知りながら我が子を守れなかった悔やみは消えないだろう。10年前、厚生省、医師、製薬会社に怒りをぶつけた彼が、今、年金問題を含め責任を感じない国の仕組みを問うている。確かに老人介護を始めから民間に丸投げしたコムスン問題といい、体質は何ら進歩していない▼30日、小田実氏が死去。1965年発足のベ平連(ベトナムに平和!市民連合)の創始者であり、反戦デモを行い、30人以上の脱走米兵を匿い逃がした。1960年に始まったベトナム戦争は泥沼化し1973年にアメリカは撤退する。今は世界中が泥沼化している▼31日朝4時半、白んだ西の空に、丸い有明の月が白くぽっかりと浮かんでいた。杵つく兎も夜よりハッキリ見える。空が明るくなるにつれ、月はぼんやりと霞み、兎の姿さえも定かでなくなった。

 

   2007年 7月号

 6月4日、空前に盛り上った早慶戦は、ハンカチ王子こと斎藤佑樹投手の早稲田が勝ち六大学優勝。17日、日本大学野球の頂点にも立つ▼4〜7日、男子アマチュアゴルフの関東選手権、25〜26日、埼玉オープンゴルフにハニカミ王子と呼ばれる石川遼君出場。遼クン基金は110万円を超えた。両王子の追っかけはリタイアー後の男性の姿も多い。スポーツ観戦は素晴らしい事だが、彼等熟年男女のパワーを老人介護支援にも活かせないかと、コムスンの事件を通し考えた▼7日、3万人抗議デモの中、ドイツ・イリゲンダムG8サミットは温暖化対策を含み合意。英語、ロシア語堪能というメルケル首相の手腕が際立つ▼25日、イギリス財務相ゴードン・ブラウン(56才)が労働党首に選出。27日、第52代英首相に就任。ブレア氏と二人三脚で政権を支えてきた。今後の活躍に期待する▼27日、ツタンカーメンの発見で有名なカーター博士が発見したミイラの一体が、紀元前1502年〜1482年に在位したハトシェプスト女王とDNA鑑定で特定した。ハトシェプストの名は10年前、女王葬祭殿で日本人11人を含め62人が射殺されたテロ事件として記憶に留まっている。長く男性と思われていたが平和的外交で国を安定させたという。ミイラであってもその姿は優しく女性らしい▼28日、宮澤喜一元首相(87才)死去。1942年に大蔵省に入省。日本国憲法、サンフランシスコ条約、日米安保・・・・と敗戦国の舵取りに携わった。1992年総理大臣の時に国連平和維持活動(POK)協力法を成立させたが、国際社会にあってぎりぎりの選択だったのだろう。憲法小冊子を常に携帯し読み込んだ上での護憲派であった。明治維新以降こういう偉才秀才が荒波を切り抜けてきた▼30日早朝、第166通常国会は社会保険庁改革関連・年金時効停止特別措置法、公務員制度改革関連法を強行採決。重要広範議案は10件といつもの倍以上あり税金や公債の法案4件、労働3件、年金2件にイラク支援措置法。憲法改正に関わる国民投票法案や、教育法は重要ではないらしい。240件の議案中、内閣提出99法案、衆院76法案、参院18法案、予算6件、決算4件、条約19件。残り18件は承認、承諾、決議。大半が知らぬ内に決まっていく。託す議員の選出は慎重にならねばと思う。



   2007年 6月号

 5月は痲疹が大流行し次々と大学が休校した。母子健康手帳で予防接種の確認をした家庭も多かったろう。母子手帳は富国強兵の為に考案され1942年妊産婦手帳として発行。現在、乳児死亡率が世界一低く、妊産婦死亡率も先進国並なのは、この手帳のお陰である。JICAがインドネシアに導入し目覚ましい成果を挙げ、メキシコ、パレスチナなど諸国への普及に努めている。一方、衛生管理が進み過ぎた日本にも、新たな対策が必要そうである▼20日、15才の石川遼君が男子プロゴルフツアーのマンシングウェアオープンKSBカップで優勝。謙虚で爽やかな笑顔に「ハニカミ王子」と呼称された▼23日、『生物分類学の父』リンネの生誕日にスウェーデン・ウプサラにて、生誕三百年式典に天皇皇后両陛下ご出席。リンネは植、動、鉱物を属名と種小名をラテン語で表す二名法を体系化。動植物図鑑等で見るイタリック文字のところである。ダーウィンの「種の起源」の百年前、DNA鑑定もない時代であるから、分類の中身は変化しているが、二名法は未だ健在である▼港区には大使館が多く治外法権の閉鎖的な雰囲気が強いが、スウェーデン大使館はギャラリーでの無料の催し物が多く、開かれた印象を持つ。5月は「長靴下のピッピ」等で有名なアストリッド・リンドグレーン女史の生誕百年を記念し『児童文学フェアー』が開催されていた。子供に混じり、嘗て作品に魅せられた大人達も北欧のサンドイッチを頬張り楽しんでいた▼28日、昼過ぎヘリコプターが大音響で旋回。テレビを点けると松岡利勝農相(62才)自殺の速報。さっきの救急車のサイレンは氏を搬送していたのか。「美しくない議員」と揶揄され、死を持って贖ったのは誰に対してか。社会保険庁も緑資源機構も誰の臣なのかを考えて欲しいのだが▼30日、横綱白鵬(22才)誕生。モンゴルの大英雄の父から学ぶ事も多いだろう。世界の横綱の品格を確立してくれると期待する。

 

   2007年 5月号

 4月に入り助教授は准教授、助手は助教と助手に改名。英語のassociate professorとassistant professorに合わせたのだが、「助教」は助教授の略称だったから紛らわしい。看護師も馴染めない。看護婦と看護士で良いのでは。ジェンダー問題とは次元が違うと思うが。英語もnurseは女性である▼5日、「五体不満足」の著者乙武洋匡氏が杉並第四小学校教師となり始業式。道徳と理科を教える▼6日、青木鈴花ちゃん小学校入学式。1才2ヶ月で喉頭軟化症の為、気管切開手術。自分で定期的にチューブを入れ痰を吸引をする。昨年、一般公認保育園の入園許可勝訴時より少し大人びたが、相変わらずの天使の笑顔にこちらの心まで和む▼普通に生きる事が許されない人々がいる。難病、障害、戦火・・・。自分にどれだけの事が許され、そして出来る事は何かと思う▼8日と22日に第16回統一地方選挙。東京都民は3期目の石原氏を選出。多くの地方と共に変わらぬ事を選んだのだろうか▼11日から13日、中国温家宝首相来日、国会演説、天皇陛下会見、野球等フル活動。「経熱」が中国国民感情の雪解けにもつながると良いが▼17日、 米バージニア工科大学にて韓国人学生が32人銃殺。同夜8時頃、長崎の伊藤一長市長市長銃弾に倒れる。背広に不釣り合いの真新しい運動靴のゴム底が、選挙期間中のこの日も元気に駆け回っていたと語っていた。たった一人の命さえこれほど胸が痛むのにイラクでは連日、幼子さえ易々と殺され、既に6万人犠牲がなっている▼23日、ロシアのエリツィン元大統領死去。クーデターを阻止し、ソ連を解体し、始めての国民投票で選ばれた大統領。あの時日本も北方領土に希望をもったのだが▼26日、中国本土企業「アジア・メディア・カンパニー」は初の日本上場。どうなっていくか目が離せない▼27日、安倍晋三首相は米連邦議会議事堂で従軍慰安婦問題を詫びる。然しホワイトハウス前ではアジア系住民の抗議デモ。歴史検証が済む前に、安易に謝るのは如何かと思う。

 

   2007年 4月号

 3月16日、東京に初雪。平年より73日遅く観測史上最遅となった初雪は、僅か5分間の霙(みぞれ)だった▼同日、東京地方裁判所は元ライブドア社長堀江貴文氏に2年半の実刑判決。長銀3、100億円を頂天に山一、カネボウ、ミサワホーム、日興コーディアルの粉飾決算への判決に比べ、53億の堀江氏への処罰の厳しさは、若者に司法への不信感を抱かせまいか▼17日、アイルランドとの外交50周年を記念し「聖パトリック・デー」に東京タワーが緑色にライトアップ。緑色の東京タワーを最初に見たのは12年前の「みどりの日」。1月17日阪神淡路大震災で始まり、3月20日地下鉄サリン事件と不穏な日々の中、初めて見る鮮やかな東京タワーに少し心が弾んだのを思い出す ▼20日より25日まで世界フィギュアスケート東京大会。金、安藤美姫選手。銀、浅田真央選手・高橋大輔選手。17日より4月1日まで世界水泳メルボルン大会。北島康介選手の金銀のメダルの他に銀3個、銅8個。東京とメルボルンの時差が1時間の為、毎夜テレビ観戦が忙しかった▼25日、能登半島沖にM6.7の地震。石川県七尾市、輪島市、穴水町で震度6強。倒壊家屋、年老いた家族、過疎村の孤立化。一刻も早く救援が行き届くよう祈る▼長州藩毛利下屋敷の清水園の一角、檜町公園の池で旧友達は鮒を釣り、子供達はザリガニを取った。渓流の辺のテーブルにクロスを広げ食事をする外国人の家族連れ。湧水と滝の奥の石塀の向こうには自衛隊(防衛庁)の木々が広がり、バルビゾン派の絵画の様な豊かな緑があった。30日、ミッドタウンとして現れた公園は、よく見れば以前の池や渓流に良く似せてある。まるでディズニーランド宛(さなが)らに。そこから桜並木を抜けると国立新美術館。昭和11年2月26日、安藤大尉等が麹町の鈴木侍従長宅へ出発した歩兵第三連隊兵舎は、パリの駅を美術館にしたオルセーとは対極に、建物の南西の角を一部だけ切り取られ、標本の様に残された。金網越しに隣地の米軍ヘリポートが見える。その向こうは都立青山公園。そこだけは、宇和島藩伊達上屋敷跡の面影が残っている。

 

   2007年 3月号

 2月13日、北京での6ヵ国協議は、1986年黒鉛減速炉の運転開始し、1992年のIAEA核査察、1994年の米朝枠組合意を経ても、尚核を保有をした北朝鮮に、核停止を条件に重油100万トン支援で合意。国連決議は何の意味をなさぬ、と世界に立証したのではと心配する▼18日、東京マラソンを11時過ぎ中間地点付近の芝公園にて応援。雨は止み市民ランナー達は声援に応えながら走っていく。係も応援も警察官さえも一体となり愉しんでいた。3万870人が参加。1万人以上のボランティア、5千人の警察官、沿道の応援は178万人。有森裕子選手と共にその1人となる▼1960年代『花は何処に行ったの』『風に吹かれて』など米国のフォークソングが人々の心を捉え、ベトナム戦争終結の大きな力となった。21日、その中のPPMのメンバーだったポール・ストゥーキー氏がCD『めぐみ何か話して』を発売。風の中に娘の声が聞こえると、横田早紀江さんの気持ちを、一段と深みを増した歌声で静かに唄う。「政治を超えた所で人の心に直に訴えたい」との願い通り心を打つ▼22日、日銀は短期金利を年0.25%から、0.5%に引き上げ。景気だけでなく心も豊かになりたい▼同日、厚労省は「赤ちゃんポスト」設置容認。申請をした熊本市島崎の慈恵病院の前身は、ジャン・マリー・コール神父が建てた診療所とある。コール神父は1898年に同地に、ハンセン病患者の待労院を設立した事で有名である。現在の入居者は8人。高齢化が進み、年々減っていく人数に胸が痛くなる▼24日、情報収集衛星打ち上げ成功。1998年北朝鮮のテポドン発射に伴い急遽打ち上げが決定し、漸く光学、レーダー各2基ずつ揃い、24時間体制となった。打ち上げ費用は1回100億円前後。今まで約5千億円が投じられたが寿命は5年しかない▼この費用が食料になれば、どれだけの人を救えるのだろうか。

 

   2007年 2月号

 1月1日、増上寺、日枝神社、豊川稲荷、氏神の八幡様と初詣。暖冬の夜気は生温い。夜7時よりウィーンフィルニューイヤーコンサート中継。指揮者ズービン・メータ氏がルーマニアとブルガリアへ「ようこそEUへ」そして「新年に乾杯」と挨拶。この日EUは27カ国、ユーロ圏はスロベニアが加わり13カ国となる▼人命は地球より重い。1977年ダッカハイジャック事件の時、福田赳夫首相はそう言って赤軍派解放に応じた。平和呆けと非難されたが、あの時の日本人の感情としてごく自然であった。しかし今は日本人の心も変わった。折しも2日、ダッカ事件の放映を見て、改めてこの言葉を世界中に伝えたいと思った▼11日、フィリピン、セブ州マクタン島で東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国(インドネシア、シンガポール、 タイ 、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナム、ミャンマー、ラオス、カンボジア)の「ASEAN外相会議」を皮切りに、13日に「第12回ASEANサミット」、14日に「第10回ASEAN+3(日本、中国、韓国)サミット」、15日にインド、オーストラリア、ニュージーランドが加わった「第2回東アジアサミット」が開催された。16人の元首がフィリピンの正装バロン・タガログに身を包み一列に並んだ姿は圧巻である▼21日、宮崎県知事に東国原(そのまんま東)氏が当選。氏が47才で大学で地方行政を学び選挙に出た経歴は、教育を考える上で参考になる。大学の門戸を広げ受験の歪みを減し、その上で学力のつかぬ学生は落としていく制度に変えたい。進級も卒業も生半可で出来なければ安易な入学は減るだろうし、入学自体は価値がなくなる。その代わり高校までは義務教育とし、大学は学びたい者だけで良い。今、教育改正法案が国会に提出されているが、先ず直すべきは大学受験のあり方であり、小中学校をいじっても良い結果は出ないと思う▼26日、2003年より始まった南極大陸の日本のドームふじ基地(標高3810b)での氷床掘削は深さ3035・22bで終了した。岩盤には届かなかったが、それでも数億〜数十億年前の地球を知る手がかりが得られた。幾多の偶然が重なって地球は命を生み出した。この奇跡を大切にしたい。


   2007年 1月号

12月1日、、アルジャジーラ衛星テレビ局本社のあるカタール国ドーハにて、アラビア半島で初めての第15回アジア競技大会が開催。アフガニスタン、レバノン、パレスチナ、20年ぶり参加のイラクに大きな拍手が湧く中45ヶ国・地域が参加。『あなたに平和を』の松明の文字は切実に心迫る。白のガラベーヤを纏いモハメド王子が、剣に見まごうトーチを掲げ馬で駆け上がり点火。15日、閉会式は麝香(じゃこう)漂う豪華絢爛の千夜一夜絵巻。イスラム教徒の多さ、オイルマネーの凄さに圧倒された。日本は金50、銀71、銅77▼17日、モスクワで15年間に211人のジャーナリストが殺害されたと追悼集会。サハリン2における横暴といい先進国とは言い難い▼16日、ベトナム戦争での米軍の枯れ葉剤散布の影響とみられる結合双生児として1981年に生まれ、1988年にベト君との分離手術をしたグエン・ドクさんが結婚。ドク君の幸せを祈る。しかしベトナムでは未だに結合双生児を始め異常児が生まれ、三世にまで影響している▼18日、北京で6カ国協議を再開、25日、全く進展のないまま閉会。北朝鮮は何の目的で茶番を繰り返すのか。横田夫妻の最近一段と疲労が溜まられた表情が気がかりである▼21日、国連総会は北朝鮮に人権非難決議▼24日、有馬記念は「平成の天馬」ディープインパクトが快勝。そして2年間の偉業を残し引退▼松坂大輔投手は6年で5千2百万j(60.8億円)でレッドソックスと契約。井川慶投手はヤンキースと5年で2千万j(約23・6億万円)で合意。それに見合う活躍を早くみたい▼飯桐は冬になると赤い実をつける。人間には不味いのだが、葉が落ちた頃鳥たちの餌場となる。去年植木屋を入れたせいか、この冬は実をつけなかったが、先日、赤唐辛子をベランダに干すと、あっという間にヒヨドリが銜えて行った。そういえば何日か前、何羽か電線にとまりしきりにこちらを見ていたが、実を探していたのか。辛くて驚いていないかと心配したり、鳥の記憶力に感動したり▼紅葉が散り始めてクリスマスとなった。心理学者であり元文化庁長官の河合隼雄氏は、自身の年少期の体験を踏まえ、幼少にサンタを信じる事は心のポケットが増える事だと語っていた。子供の悲惨な事件が多いが、加害者達は親の愛を実感せずに大人になったのではないか。しかし足りないポケットは自分で付ける作業も必要である▼15日、改正教育基本法が成立したが、強制や規制では心は育たない▼病床の河合氏が、早く快復なさるよう祈る。

 

 

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