Paragraph 2010 バックナンバー |
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前日未明は暴風雨が吹き荒れたらしい。テレビでは死者が50人出たと報じ、水没した街を視察したサルコジ大統領が、300万ユーロの援助及び減税を発表していた。ロワール地域も、大きな松毬(まつかさ)を付けたレバノン杉など常緑樹が根を見せ倒れて、河原も浸水し木々は水の中から枝を広げている。森は落葉樹の裸木の枝があるばかりで、緑の葉を茂らせた丸い形の宿り木が、枝々にぶら下がっていた▼ロワール河のジャック・ガブリエル橋向こうの尖塔が、12世紀末に建てられたサン・ニコラ教会。右手がブロワ城。1429年にジャンヌ・ダルクはここからオルレアンに出発した。ルイ11世が1498年国王となってから、7人の王と9人の王妃が住んだ後、100年後に宮廷はパリに移った。栄光と陰謀が渦巻いた場所だが、政権から離れて400年、街は静かに佇んでいる▼モン・サン・ミッシェルは富士山に似ている。遠くからもその姿が判り、近づく程に大きくなるが、間近になっても中々着けない。ハリケーン・シンシアの影響は此処にもあって、連絡道路だけを残し、嘗てのように海に浮かんでいた。名物のスフレオムレツを食べた後、島に向かって散歩をする。先程まで西の方に見えた夕焼けが消え、空は紫に包まれた。そして紺青色へとゴッホの絵その侭の空を見る。やがて辺は闇となり、ライトアップされたモン・サン・ミッシェルは光りだした。強風の中を歩を進めれば、島は少しずつ大きくなり、その姿をはっきりとさせていった▼7月11日、参院選は民主44議席、自民51議席、みんなの党10議席、その他16議席▼12日、ワールドカップ閉会式に防寒服を着込んだネルソン・マンデラ夫妻が登場。18日に92歳になる氏は穏やかに微笑んでいた。反アパルトヘイト運動で27年間の投獄生活の後、1993年にノーベル平和賞を受賞。部族をまとめアパルトヘイト廃止へ導いた。1994年に南アフリカで初めて全人類参加選挙で大統領に。「私達が最も怖れるのは無力ではなく、計れぬ力がある事。光であって闇ではない。自分が優秀な筈がないと無能なふりをしても世界に役立たない・・ 」との就任演説は有名である。今回の大会も氏が強く希望し、大方の予想を裏切り見事に成功させた▼オランダとの決勝戦はスペインが優勝。しかし一番の人気者は8試合の勝敗全てを当てたドイツ・オーバーハウゼン水族館の真蛸のパウル君。蛸は無脊椎動物の中で一番知能があるという。「悪魔の魚」と嫌われていたが、世界中の好物とならないと良いのだが▼23日、スイスの氷河特急転覆。氷河はもはや見えないがアルプスを堪能出来ると人気。日本人1名死亡、38人負傷▼26日、昨年度の平均寿命が日本女性が86・44歳で25年連続世界1位、男性は4位で79・59歳と厚生労働省発表。平和の証に感謝すると共に、高齢者がただ生かされているだけでない事を願う▼30日、15年ぶりに1ドル85円台。1995年4月19日に79円台になったのが最高円高だが、世界の金融に木の葉のように揺れている日本である。 |
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元旦の初詣は赤坂日枝~社、芝増上寺、氏神と例年通り近間を詣でる。順序が逆だが、家に戻り冷えた身体に温かな蕎麦で一息。部屋の西側の窓から満月が煌々と光る。4時頃、左下が僅かに欠け、4時22分約8%の月食。二兎はひっくり返って餅を搗いていた▼古来日本は満月を月の初めとしていたが、604年聖徳太子が中国の新月を朔日(ついたち)とする太陰暦に改めた。十七条憲法成立の年である。明治6年(1873)1月1日から太陽暦のグレゴオ暦となって、初めての元旦の月食。天からの贈り物に感謝して一年をスタート▼12日、ハイチ共和国、M7の地震。1492年にコロンブスが発見した西インド諸島の一つである。先住民インディオは過酷労働で全滅し、今は奴隷海岸から来た西アフリカ人の子孫である。1805年南米初の独立国家となるが、未だ政情が安定しない。国家形態の粗末さが被害を大きくし、死者は人口2%に当たる20万人に達している▼15日、月は地球と太陽の間に入り新月となった。関東以西は日没前に部分日食を観測▼17日、15年前M7.3の阪神淡路大震災。揺れは街並みを飴のように曲げた。街は復興しても、失った6,200人への痛みは未だ治らない▼18日より通常国会招集。国民は身を切り正に血税を納めている。議員は自らの納税に真摯であるべきである。ましてや・・・▼25日、枕草子に「星はすばる」と書かれ六連星(むつらぼし)とも呼ばれるプレアデス星団が食。十夜月は7時18分から、エレクトラに始まりメローペ、アルキオーネの3姉妹、最後に父親アトラスと3時間半ほどかけ、左の影で飲み込み、明るい背中から出すように通り過ぎていった▼30日、今月2度目の大きな満月が昇る。 |
12月2日、平山郁夫画伯死去(79)。20年ほど前、港区御成門にある東京美術倶楽部で、平山郁夫展があった。砂漠の石窟の仏像や砂丘に駱駝の隊列など、シルクロードの絵が並び、静かな空間に時間が凝集した世界に、心を奪われた。2001年タリバンにより石仏破壊。その後の画伯は文化保護や教育にも一段と熱心であった。破壊された石像の破片が氏の下に送られ、上野の東京藝術大学で展示。幻想的な氏の石像達とは別に、力強い石仏を直接見る機会もあった。広島で被爆された氏の心の奥深さを、とても窺(うかが)い知る事は出来ないが、それでも慈悲とは何かを感じさせて頂いていた▼コペンハーゲンにて7日より開かれていた国連気候変動枠組み条約締約会議(COP15)は、各国が地球環境危惧を認識し集まったが、大混乱の末19日、合意出来ずに承認で終了。良い道への一歩でありたい▼1月のしぶんぎ座、8月のペルセウス座、12月のふたご座が三大流星群。14日夜11時過ぎ、火球が飛んだとのニュースに、15日に入った頃空を仰ぐ。雲はあるが空は澄み、天頂近くのふたご座に、オリオン座、シリウス、プロキオン、アルデバランとくっきり見える。雲間から流星があればラッキーと、コートを着込みベランダで横になり待つ事30分。西の空に長く星が流れた。軈(やが)て雲は去ったが空が鈍る。短い流星を更に3個見て室内に戻った▼2009年は米国は黒人のオバマ大統領、日本は民主党が政権交代と変革の年となった。又、新型インフルエンザによって、世界的感染を防ぐのは難しいことも判明した。地球に呉越同舟する国々が、船より落ちず、落さず、壊わさず、尊厳を守り合っていきたいと祈る。 |
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